茶は中国では有史以前から不老長寿の霊薬
”薬”として飲まれていたと言われ、
紀元前2737年「農耕の神様」と言われた帝”神農”の
沸かした湯に茶葉がひらひらと偶然に落ち、その香りと
味に魅了されたのが始まりと伝えられています。


茶の木はもともと中国大陸の四川地方や雲南省が
発祥の地で、あるいは、インドのアッサム地方の
山岳地帯で自生していたと言われています。

4世紀には
茶の木の生育に適した四川地方〜揚子江沿い・
江南地方で栽培され広がり、茶は中国から陸路と海路を経て
世界へ広がって行きます。

このころの茶は緑茶・ウーロン茶などがほとんどですが、
18世紀中頃からは紅茶が全盛となります。




 
◆ 茶について ◆

緑茶・ウーロン茶・紅茶・・・お茶には色んな種類があるように思われますが、
どれも同じ茶の木の葉が原料だって事、意外と知らない方が多いようですよね。

茶樹は植物学上、ツバキ科ツバキ属の常緑樹で学名「カメリア・シネンシスCamellia
Sinensis」
の新芽や若葉を加工してお茶にするんですよ。
そして、その加工の方法の違いで緑茶・ウーロン茶・紅茶になるんです。


原産国・原産地や茶園によって栽培される
品種は違いますが、茶の木は植物学上
温帯気候系の「中国種」と熱帯気候系の
「アッサム種」に大別できます。

◆中国種◆
  タンニンの含有量が少なく、緑茶に向いています。

◆アッサム種◆
 
タンニンの含有量が多いので紅茶に向き、
  インド・スリランカ・アフリカなどで栽培されて
  います。

  カメリア・シネンシス

お茶は1.不発酵茶〈緑茶系)2.半発酵茶(ウーロン茶系) 3.発酵茶(紅茶系)
大別されます。

1.不発酵茶〈緑茶系)
  
 
歴史的に最も古くから飲まれているのが緑茶系です。
  摘んだ生葉を熱して、酸化酵素を破壊し、葉の発酵を止めて作られます。
  発酵させないので茶葉は緑色が残り、水色も黄色みを帯びます。
  ・日本式「蒸し茶」・・・・生葉を蒸気で蒸してから揉んだお茶で、日常飲んでいる
                   抹茶・玉緑茶・煎茶・玉露・ほうじ茶・番茶などです。
  ・中国式「釜いり茶」・・・熱した釜の中に生葉を入れ、煎りながら作るお茶で、
                  嬉野茶・青柳茶・緑磚茶などです。
                  
2.半発酵茶(ウーロン茶系)

 
生葉を日干しし、その後陰干しし、葉をしおらせ短時間発酵させてから揉みほぐし、
  熱を加え酸化酵素の働きを止め、乾燥させて作られます。
  茶葉は茶褐色で、水色は紅茶に近い色です。(ウーロン茶・包種茶など)

3.発酵茶(紅茶系)

 
生葉を長時間萎凋(イチョウ)して酸化酵素の働きを促し、揉捻(ジュウネン)と発酵に
  よってタンニン等の成分を酸化させます。
  その後、加熱乾燥して作られます。これを「オーソドックス製法」と言います。
  茶葉は急激に乾燥させるため濃い茶褐色で水色は種類・産地によって異なりますが
  明るい褐色〜濃い褐色まで様々です。
  詳しくは「茶摘から紅茶へ」を見てくださいね。






 
◆ 紅茶の分類・等級 ◆

紅茶を選ぶ(買う)時どのように選んでますか?
紅茶は分類に分けると5つに大別できるのです。

1.原産地別(お茶のとれる原産国別)・・・「紅茶のとれる国」参照
2.地域別(ダージリン・アッサムなど茶園の地域別)・・・・「紅茶のとれる国」参照
3.パッカー別(リプトン・トワイニングなど銘柄別です)・・・本当に沢山ありますよね
4.製品の形態別(ルースティ・ティーバッグ・インダストリアルティーなど)
5.等級別(グレード別)・・・紅茶のサイズ大きさ形状を表すもの。

1.2.は「紅茶のとれる国」でご紹介していますので、のぞいてください。
3.は皆さんもご存知のように本当に沢山のブランド〈銘柄)があります。
ここでは4.と5.を少しご紹介しますね。

4.製品の形態別

  現在私達が飲んでいる紅茶を種類別に分けると4つの種類になります。

 1.ティーバッグ  あらかじめ茶葉の量が計算されて濾紙の袋に入れられた
 ものでティー〈お茶)の入ったバッグ(袋)の事です。
 ティーバッグの紅茶もちゃんと淹れると美味しいです。
 2.ルースティー  リーフティーとも言い、撒茶(バラチャ〉のことで、茶葉を
 茶サジやティーメジャーなどで自分で量って飲むタイプです。
 3.インスタントティー  葉からエキスを取り出して粉末にしたもので、
 お湯で溶かして飲むタイプのものです。

 人工的な味・香り・水色なので、紅茶とは言えませんよね。
 4.インダストリアルティー  自動販売機で売られている缶物です。
 
 こちらも人工的な味・香り・水色なので、紅茶とは言えません。
 その上”缶”が残ります・・・
ポイ捨てはやめましょうね。

 本来、紅茶を楽しむという事は茶葉の形状・水色(スイショク)・香り・味・最後に残る
 茶殻までを楽しむことです。

 ですのでBとCの紅茶味は茶葉の形状・茶殻がないばかりでなく、人工的な味・香り・
 水色なので、紅茶とは言えませんよね。

5.等級別(グレード別)

 茶の葉(リーフ)にはそれぞれ名称がついています。
 それぞれの葉が加工され、ブレンドされ紅茶になります。

◆フラワリー・オレンジ・ペコ◆
 (Flowery Orenge Pekoe)
 一番上の新芽(チップス)のことです。
 ・ゴールデンチップス・シルバーチップス等
  新芽だけを摘んで作った紅茶で、味わい
  もあまりなく、値段も高いのですが、
  製造量が少ないため希少価値がつき
  珍重されている茶葉もあります。

◆オレンジ・ペコ◆
 (Orenge Pekoe)
 フラワリー・オレンジ・ペコの下の若い葉
 で、茶葉の厚みも薄い。

◆ペコ◆
 (Pekoe)
 オレンジ・ペコの下の葉で、葉の裏には
 白い産毛があり、オレンジ・ペコよりも
 茶肉は厚い。

◆ペコ・スーチョン◆
 (Pekoe Souchon)
 ペコの下の葉で、茶葉は太い。

◆スーチョン◆
 (Souchon)
 ペコ・スーチョンの下の葉で、葉は硬くて、
 品質的に劣るので、ブレンド用が多い。


  茶葉(ルースティー)は、大きくは4種類に分けられて、茶葉の大きさ(形状)によって
分類されます。
それを等級(グレイディング)と言いますが、品質の良し悪しを意味しているのでは
ありませんのでご注意くださいね。

オレンジ・ペコ◆
 (OP)

  オレンジ・ペコのペコとは、中国語の「白亳(パイハウ)」
  からきたもので、産毛(ウブゲ)のついた新芽を指します。
  果物のオレンジとは関係ありません。

  茶葉の長さは7〜11mmくらいで、茶葉を長いまま
  撚(ヨ)ったリーフタイプのものです。
ブロークン・オレンジ・ペコ
 (BOP)

 
オレンジ・ペコを砕いて小さくしたもので形状が細かい
  分だけ成分を短時間で抽出できます。

  茶葉の長さは2〜3mmくらいで、最も需要が多く
  市販されている茶葉です。
◆ブロークン・オレンジ・ペコ・ファニングス◆
 (BOPF)

 
ブロークン・オレンジ・ペコをさらに細かくしたもので、
  抽出時間もさらに短くなります。

  茶葉の長さは1〜2mmでティーバッグ・ブレンド用に
  多く利用されています。
 ◆ダスト (D)◆
   
粒状にした細かい形状の茶葉でティーバッグ用です。
   ゴミ・チリという意味ではないので注意してくださいね。

◆CTC製法◆

 生茶の細胞組織を破壊して仕上げた茶葉で、
 短時間で成分を抽出できるので、
 ティーバッグに多く使われています。等級ではありません。

 Crush押しつぶす・Tear引き裂く・Curl丸める事から
 頭文字をとってCTC製法と言います。
 茶葉は1〜2mmの粒状です。