「茶葉について」で説明しましたが、茶の木は植物学上、ツバキ科ツバキ属の常緑樹で
学名は「カメリア・シネンシスCamellia Sinensis」と言います。

茶の木はもともと中国大陸の四川地方や雲南省が発祥の地で、あるいはインドの
アッサム地方の山岳地帯で自生していたと言われています。

茶は中国では有史以前から不老長寿の霊薬として飲まれていたと言われ、4世紀には
四川地方〜揚子江沿いに茶の木の生育に適した江南地方で栽培され広がり、茶は
中国から陸路と海路を経て世界へ広がって行きました。

茶の栽培は高温・多湿・雨量の多いモンスーン気候の地帯が適しており、スリランカ・
インドあたりが良質なお茶を多く生産しています。

現在の原産国をご紹介します。





 
 
◆インド◆
INDIA

インド茶業局のシンボル
マーク
です。
茶摘の女性のマークが
あれば100%インド産を
意味しています。

 

インドはご存知のとおり生産量第一位を誇る世界最大の紅茶生産国です。
イギリスの植民地だったインドはアッサム地方での茶樹の発見以降茶園が開拓され、
19世紀後半には中国をしのぎ、紅茶の生産量では世界1位に発展します。
茶園は北部と南部に広がり、北部はインド紅茶の大半を占める世界最大の産地
アッサムや世界三大銘茶の1つダージリンなどがあります、南部は、ニルギリが有名です。

◆ダージリン (Darjeeling)◆
  ダージリンは北東インドヒマラヤ山脈の東に位置し、ネパールとブータンに挟まれた
標高2000mを超える高原の町です。
植民地時代にイギリス人の避暑地として開発されました。

茶園は1000フィート〜6000フィートまでの山腹にぎっしりと広がり、1日のうちの
寒暖の差が大きく、谷底に発生した白い霧が山腹の茶園を覆い、この霧によって
独特の香りマスカットフレーバーを作り上げます。
 
世界三大銘茶の1つで”紅茶のシャンパン”とも言われます。

◆ダージリン地方は1年で最良の収穫期(ヴィンテージ・シーズン)が3期あります
 
収穫期〈3月〜11月)
 ファーストフラッシュ ダージリン
 First Flush Darjeeling
 4月〜5月(一番摘み)
 茶葉の色は緑茶のような緑色が多く水色は
 オレンジ色、新鮮で若々しいスッキリした味わい
 で、ストレートで飲んでほしいです。
 セカンドフラッシュ ダージリン
 Second Flush Darjeeling
 5月中旬〜7月(二番摘み)
 茶葉の色もブラウンがかり、水色も紅茶らしい
 濃いオレンジ色で、ダージリン独特の香りと渋みが
 強くでてきて、しっかりと落着いた味です。
 Autumnal Darjeeling
 オータムナル ダージリン

 7月〜10月の雨期明けに収穫される(秋積み)
 茶葉はブラウニッシュで水色は赤みがかって濃く、
 味も渋みも強いので、濃く入れるとミルクにも
 合います。


ヴィンテージ・シーズンのダージリン紅茶のグレード表示

 Q.F.T.G.F.O.P.−1

 N.F.T.G.F.O.P.−1

 S.F.T.G.F.O.P.−1

 F.T.G.F.O.P.−1

 T.G.F.O.P.−1

 O.P.−1
 Q=Quality  クウォリティー
 F=Fine    ファイン
 T=Tippy   ティッピー
 G=Golden ゴールデン
 F=Flowery フラワリィー
 O=Orange オレンジ
 P=Pekoe ペコ
 1=No1 ナンバー1
 S=Super スーパー
 N=Nice ナイス


季節ごとに違った味が楽しめるダージリンティーを一年を通して楽しんでみてくださいね。

◆アッサム (Assam)◆
 

北部インド産紅茶の代表、世界最大の生産量を誇るアッサムはブータンの南、
ブラマプトラ河流域の周囲を山に囲まれたヒマラヤ山麓の広大な平原で、自然環境・
気象条件ともに茶葉の生育に理想的な地域です。

3月〜11月が収穫期で、3月〜4月が一番茶、6月〜7月が二番茶のシーズンです。
茶葉は濃い茶色、味は濃厚でコクがり、水色は濃い赤褐色、ミルクに良く合います。
ブレンド用やティーバックの原茶としても多く使われています。


◆ニルギリ (Nilgiri)◆
 

南インド紅茶を代表するニルギリは、西ガーツ山脈の尾根から高原にかけての
標高1200〜1800mの”ブルーマウンテン”と呼ばれる丘陵地帯にあるニルギリ高原が
産地で、ハイグロウンのお茶です。水色は明るく、赤みのあるオレンジで、香りも良く、
スリランカにも近いため、セイロンティーに似ています。
気候に恵まれ1年を通じて収穫生産され、1月〜2月にかけてはクウォリティーシーズンで
最も品質の良い茶葉が収穫されます。




 
◆スリランカ(セイロン)◆
SRILANKA

 

 

スリランカ・ティー・ボード

スリランカ茶業局のシンボルマーク

このマークがあれば100%スリランカ産を
意味しています。

 


 スリランカはもともとコーヒーを多く栽培・生産していましたが、1895年サビ病が発生し、
 コーヒー園が壊滅したため、その後茶樹が植えられ茶園が拡大してゆき、現在では、
 世界第2位の紅茶生産国までに発展しました。
 スリランカはシンハロ語で”輝ける島”という意味だそうです。

 ◆スリランカの紅茶は茶園のある高度によって品質が分けられ、高地になるほど水色が
  明るく、独特の芳香をそなえ、高級茶とされています。

 ハイグロウンティー
 (高地茶)
 4000〜6000フィートの高地に位置する茶園で
 生産される紅茶で、最高級品とされています。
 ウヴァ・ヌワラエリア・ディンブラが有名です。
 ミディアムグロウンティー
 (中地茶)
 2000〜4000フィートに位置する茶園で生産される
 紅茶で、キャンディが有名です。
 ロウグロンティー
 (低地茶)
 2000フィート以下に位置する茶園で生産される
 紅茶で、ルフナが有名です。

  スリランカのお茶はセイロンティとして一度くらい飲んだことありませんか?
 

◆ウヴァ (Uva)◆ (ハイグロウンティー)
 

ダージリン(インド)・キーマン(中国)とともに、世界三大銘茶の1つウヴァはスリランカ中部の
山岳地帯(中央山脈)の東側斜面に位置するウヴァ群の茶園でとれたハイ・グロウンの
お茶です。ファーストフラッシュ(一番茶)は7月〜8月に摘まれた茶葉で、最高級のウバは
限られた期間の収穫・限られた量ですが、水色は明るくて濃く、メントールの独特の芳香と
爽やかな渋みです。(茶摩のお客様にもウヴァのファンが結構多いです)


◆ヌワラエリヤ (Nuwara Eliya )◆ (ハイグロウンティー)
 

ヌワラエリヤは、ウヴァとは反対の西側斜面の中央山脈の霧に包まれた山岳地帯で、
栽培され、ハイグロウンの高級茶です。
植民地時代、イギリス人の避暑地にされていた場所です。
ファーストフラッシュ(一番茶)は1月〜2月に摘まれた茶葉で、最高級品です。
水色は明るく、爽やかな味と香りは日本人にはとても親しみやすいお茶だと思います。
ヌワラエリヤは日本の宇治市と姉妹都市になっています。


◆ディンブラ (Dimbula)◆ (ハイグロウンティー)
 

ヌワラエリヤより少し高度が下がった中央山脈地帯のディンブラ・ディゴヤ地方を中心とする
ハイグロウンの高級茶です。
ファーストフラッシュ(一番茶)は1月〜2月に摘まれた茶葉で、水色は茶褐色で、ヌワラエリヤ
より少し濃く、味もマイルドでコクがあり、とても飲みやすいお茶です。


◆キャンディ (Canday)◆ミディアムグロウンティー)
 

スリランカ中央部、古都キャンディの周辺の茶園から採れるミディアムグロウンのお茶で、
ハイグロウンティーよりもコクが強いので、一般向きのお茶で、ブレンド用の原茶として多く
使われています。


◆ルフナ (Ruhuna)◆ (ロウグロウンティー)
 

南部ロウグロウンのお茶で、水色は濃く、渋みは少なく、コクがありストロングな紅茶です。
中近東の国々に多く輸出されています。
ミルクにも合うお茶です。





 
◆中国◆
China


 
  茶はもともと中国が発祥の地で、中国には古くから工夫(コングー)紅茶が有名で、
茶園は、四川省・福建省・雲南省・英徳などが知られており、中国を代表する
キーマン(祁門)着香茶のラプサンスーテョン・ライチ・ローズコングーなど最近人気です。

 
◆キーマン (Keemun)◆
 

中国を代表するキーマン(祁門)は、ダージリン(インド)・ウヴァ(スリランカ)とともに、
世界三大銘茶の1つです。
産地は安徽(アンホイ)省の祁門で、収穫期は6月〜9月で非常に短く、クウォリティーシーズン
は8月で最も品質が良い茶葉が採れます。
水色はオレンジ色で、香りは燻したような
スモーキーフレーバーの独特な香りです。
エキゾチックな香りで、ヨーロッパなどで人気があります。


  ◆中国産の紅茶◆(茶摩にある紅茶を紹介します)
 
 ラプサン・スーチョン
 (LAPSANG SOUCHONG)
 中国産(四川省)の原茶にスモーキーフレーバーを
 着香したお茶で、その独特な香りはヨーロッパの
 紅茶マニアに人気。
 ライチ(LAI CHEE)
 福建省の果物ライチの香りを着香したお茶。
 甘いかおりと味。
 ローズコングー
 (ROSE CONGOU)
 バラ科の浜梨の香りを着香したお茶。
 バラの花びらが入ってロマンティックな香りと甘みがり、
 女性に人気です。




 
◆アフリカ◆
Africa
アフリカは世界第3位の紅茶生産国です。
ケニヤをはじめ、マラウイ・タンザニア・ジンバブエ・南アフリカ・
ウガンダ・モザンビークなどで生産されています。

 
◆ケニア (Kenya)◆
 

ケニアの紅茶栽培は、第一次世界大戦後、イギリス人の指導により開拓、発展しました。
茶園は海抜5000〜8000フィートのケニヤ・ハイランドにあり紅茶の生育に最適な地域です
ので、一年中、安定したお茶が生産されます。
クウォリティーシーズンは1〜2月・7月〜8月の年2回。
水色は濃く、明るい紅色で、コクありミルクに合う紅茶です。
おもにブレンドの原茶としてるようされる事が多く、多くはCTC製法され、ティーバックなどに
使われています。


 
◆その他の原産国◆
 
 マレーシア
 (Malaysia)

 首都はクアラルンプール。
 カメロン・ハイランドと呼ばれる一帯が産地です。
 茶園は標高5500フィートでヌワラエリアに立地条件が似ていて、
 寒暖の差があり紅茶の生育に最適な地域です。
 5月〜7月がクウォリティーシーズンです。
 茶葉はBOP・BOPF・ダストに加工されます。

 インドネシア
 (Indonesia)

 インドネシアは生産量、輸出量とも世界大4位の生産地です。
 ジャワ(Java)島西部ではジャワ紅茶が栽培されています。
 水色が明るく、セイロンティーに似た飲みやすい紅茶です。
 年間を通して安定した紅茶を生産しています。

  その他トルコ・バングラディッシュ・ネパール・
 台湾・ロシアなどが紅茶を生産しています。

  日本もかつては国産の紅茶を生産していましたが、
  現在では静岡県などの一部の地域で栽培・
  生産しているだけだとか・・・
 
  やはり日本は緑茶の国なのでしょうか・・・
  ◆茶摩にある紅茶◆
 ネパール
 カトマンズフレグランス
 (KATHMANDU FRAGRANCE)
 ネパールのイラム地方産。
 ダージリンと似ていて甘い香りと、素朴な味わいの
 紅茶です。(個人的にとても好きなお茶です)
 バングラディッシュ
 
スターオブベンガル
 (STAR OF BENCAL)
 CTC製法が主体のバングラディッシュのお茶。
 日常向けで、チャイ(シチュードティー)に適します。
 台湾
 
フォーモサラプサンスーチョン
 (FORMOSA
  LAPSANG SOUCHONG)
 台湾産のラプサンスーチョン。
 中国産より香り・味が強いです。